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本邦中小企業としては
初の航空機エンジンOEMとの直接取引を締結

AeroEdgeは、航空機エンジンの製造大手であるフランスのSAFRAN AIRCRAFT ENGINES社(旧SNECMA社)との間で、現在量産が開始されている中型機向け次世代航空機エンジン「LEAP」向けチタンアルミ製タービンブレードの長期供給契約を締結しました。この契約締結により、私たちは本邦中小企業としては初の航空機エンジンOEMとの直接取引を成し遂げ、2015年9月16日に菊地歯車株式会社からスピンアウトする形で、AeroEdgeを設立しました。AeroEdgeが本格的な量産を始めたのは、栃木県足利市に本社工場が完成し数ヶ月を経た2016年8月です。AeroEdgeはものづくりの会社として動き出してからわずかな期間しか経ていない新しい会社ですが、この新しさを逆にアドバンテージと捉え、ゼロからイチを生み出す創造性を最も重要な行動指針と位置づけながら、グローバル航空宇宙産業において意義のある仕事を展開し、本邦中小製造業のあり方に新風を吹き込むことを目標に邁進してきました。

創業以前は、グローバル市場に
橋頭堡を築くべく技術力と実績を蓄積

私たちがグローバル航空製造事業への参入を志したのは、実は2016年よりもずっと前のことです。2000年初頭から、当時主力顧客としていた自動車・建機産業各社のサプライチェーンの再編や世界的な景況の先行き不透明さを鑑み、これまで培った技術力を活かしてより付加価値のある産業領域への模索を始めました。産業規模・成長性・付加価値の高さ・挑戦に値するハードルの高さなど総合的に勘案した結果、グローバル航空製造事業がもっともふさわしいと私たちは結論付けました。

グローバル航空製造事業に参入するための最初の一歩として取り組んだことが、国内大手重工各社の航空宇宙産業とのお取引でした。2000年代中ごろから本格化した国内大手重工各社とのお取引を通じて、多くの課題をお客様と乗り越えていくことで技術力や実績はもとより、グローバル航空製造事業へ参入するために必要な認証取得や、そのほか取引に必要な多くのノウハウを学ぶことができました。 その意味で、今のAeroEdgeがあるのは、ひとえに、これまで日本の航空宇宙産業を支えてこられた諸先輩方の信用と技術があってこそのものであると考えています。

圧倒的な開発力と対応力で
チャンスを手繰り寄せた

航空機エンジンOEMとの直接契約に至った経緯として、2000年初頭から継続してきた難削材加工(チタンやニッケルのほかチタンアルミやCMCやその他の耐熱先端材料含む)の試作開発の経験がありました。国内大手重工とのお取引の中でチタンアルミ材の加工経験を蓄積してきた結果、LEAPエンジンの量産パートナー選定では、自社開発の工具で最適な加工条件を見出す技術力で圧倒的な評価をいただきました。また、対応力としても、短納期での試作を求められた際に納期どおりに納められたのはAeroEdgeだけでした。2次元図面と3DモデルからCAD/CAMを駆使した迅速な治具製作やCAMプログラム作り、並行して製品の品質保証方法の確立までを迅速に進めることで顧客との信頼関係を深めて来ました。 また、設備選定においては、国内だけでなく海外の最先端設備も視野に入れ、検討初期から膝詰めでの協議を実施し、最適なものだけを導入しています。中でも主要工程である切削加工の分野では、三井精機社との数年に渡る研究開発の結果、機械の高剛性を維持したまま小スペース化を実現しています。他の加工工程では多間接ロボットを活用し複雑形状を加工可能にするフランスのウォータージェット機(Aquarese社)、検査の分野ではタービンブレードの自動撮影に特化したドイツのデジタルX線(Yxlon社)や非接触三次元測定器(Wenzel社)を導入しています。

国内初導入のデジタルX線「MU56TB(YXLON社)」

国内初導入のデジタルX線「MU56TB(YXLON社)」

グローバルビジネスで求められる一貫工程の具備

「加工だけ」のような単一工程では最早生き残っていけません。 航空業界のグローバルOEMがサプライヤーに求めるものは、単一工程だけでなく、材料から完成品までOne-Stopで取りまとめることができる力です。近年では、このような傾向が益々強まっています。AeroEdgeも単純な加工事業から非破壊検査などの特殊工程も一貫して任せられる企業体への変革を求められました。いざ非破壊検査工程を立ち上げようとすると、国際基準に基づく「レベル3」という認定検査員が最低1名必要ですが、国内ではそのレベル3を保有しているエンジニアは少なく、更には育てる仕組みも乏しく非破壊検査体制の構築には困難を極めました。顧客の支援やこれまで築き上げてきた海外とのリレーションを活用し、フランスへ社員を派遣しトレーニングを受けさせたり、海外(フランスやベルギー)の講師を招聘したりとあらゆる手を講じてなんとか非破壊検査工程を立ち上げることができました。非破壊検査工程の立ち上げに苦しんだ一中小企業として、今後同じようにグローバルでの航空業界参入を目指す中小企業の為にも、本邦航空業界における自立的な非破壊検査認証体制と検査員養成体制の構築にはAeroEdgeの新たな使命として貢献していきたいと思います。 また、材料開発の影響が大きい開発から量産初期においては、国内のみならず海外のサプライヤーも活用しながら変化する生産要求に対応して来ました。

AeroEdge

痛感した開発と量産の違い

しかしながら、開発と量産で求められるものはまったく違うことに遅まきながら気づかされたのも事実です。上述のとおり、月に1ロット作ればいい開発フェーズでは顧客の信頼を勝ち得たのですが、月に5ロット10ロット20ロット作る量産では勝手が違い、あらゆる面で考え方を変えなければなりませんでした。開発試作では、CAMプログラムの迅速な生成と加工シミュレーション、治具・工具の内製により、要求寸法のノミナルにほとんど近い高精度の製品を作り上げることが可能だったのですが、量が流れ出すと同じ種類の治具・工具・設備であっても、ある一定のばらつきを持つためロバスト性を意識したものづくりが必要になります。当たり前のことですが、急激な増産傾向の中で初期の生産体制では多くのトラブルを招くことになりました。 組織体制に関しても、これまでは国内重工各社が担っていたハイレベルな生産計画や製品認証取得のアプローチなども自社で考え、提案し、実行することが求められました。

2016年1月の本格稼動から、これまでの考え方を改めゼロベースでの体制作りを愚直に行い、漸くグローバルOEM各社とパートナーとしてプログラムを推進できるレベルに近づき、現在も引き続き生産性の向上を目指し日々の改善活動に従事しています。今後は更なるレベルアップとして ”AeroEdge独自のスマートファクトリー化” を目指しIoTやビッグデータ解析・AIの活用など積極的に取り入れ、競争力の獲得を試みています。

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グローバル市場に打って出るための「構え」

タービンブレードの量産経験を通じて更にグローバル市場に打って出るための最低限の「構え」が整ってきたのではないかと思います。

第1に開発~量産~品質保証まで一貫して請負える体制が整ったことです。グローバルOEMと直接取引をしていく必要条件として常に顧客から要求されていることはサプライチェーンの管理から品質保証まで全て自前で行う能力の具備です。品質保証に係わる国際認証検査員の自律的社内育成体制の基盤を構築できたところです。

第2の「構え」は、チタンアルミをはじめとする難削材料の加工工程ノウハウです。チタンアルミのみならず複合材料など今後航空分野で広く使われる新素材はいずれも加工が難しいものばかりです。これら難削材料を加工するための工程確立から量産まで見据えたラーニングカーブの描画まで、中長期的な視点で顧客の生産要求に確実に対応するための知見を主力事業の運営を通し蓄積いたしました。

第3の「構え」は、グローバル航空産業ネットワークです。創業以来、ほぼ毎月の海外展示会への出展及び直接商談機会の設置を通し欧米に多く所在する航空宇宙OEM各社との直接会話ができる関係構築を急いで来ました。

グローバルで更なる
ゼロからイチを生み出していく

当然ながら今まで築いたものが十分だとはいえません。しかしながら、AeroEdgeは、今後、航空宇宙・防衛産業、ひいては製造業一般を取り巻く環境が大きく変わろうとしている時代において、これまで私たちが築いた資産を活かしながら、更にグローバルに意義のある仕事を展開し、日本における製造業のあり方に一石を投じていきたいと思います。その方向性として私たちは主に4つの方針を設定しています。

1つ目に、航空産業における本邦製造業の新しいあり方の模索です。現行の主力事業が航空産業に軸足をおいており、まずはこの産業においてLEAP事業に続く次の事業収益基盤を確立していきます。今後も戦略的にグローバル市場でのポジショニングを見定め中長期に付加価値を確保する事業の獲得を目指します。

2つ目は、機動的で大胆なグローバル市場浸透活動の推進です。市場の潜在需要理解と顧客要求に対するタイムリーな応答のために機動性を持って躊躇うことなく直接世界中のどこへでも赴くことを基本姿勢としたいと思います。

3つ目は、広範かつ柔軟な企業間連携による斬新な事業開発です。製造業のサプライチェーン構築にありがちな単純な受発注関係思想から脱し、新事業開発を端緒に多様な企業と柔軟に連携し、ともに事業を創出するという観点で協業関係を築いていきたいと思っています。
最後に、得られたノウハウやネットワークを基点とした事業展開の多様性です。私たちが構想する今後の事業は製造業だけに限定はしていません。製造で培ったノウハウやネットワークを製造業で閉じることなく、レバレッジが発揮できる事業を模索・多角化することを図ります。

AeroEdge

AeroEdgeの魅力

設立から今日までの経緯は言葉で表現することが不可能な変化や成長の連続でしたが、確実に断言できるのは今日もAeroEdgeは常に進化し、そしてその進化はこれからも確実に続いていくことです。その確信の裏付けは、今日もこの場所で挑戦を続ける頼もしい仲間が集まっており、R&Dから品質保証、ITまで、全ての領域で不屈のチャレンジ精神をメンバーが自負し、挑み続けていることです。AeroEdgeの魅力を最大限に生かし、これからも新たなことに挑戦を続けていきます。

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